超音波の話

超音波ってどんな音波

超音波ってどんな音波

ヒトの耳に聞こえる周波数は約20Hz〜20KHzと言われています。一般にこれより高いヒトの耳に聞こえない周波数のことを超音波というとされていますが、超音波学上では厳密的確に定義して、ヒトが聞くことを目的としない音波の応用に関する技術を超音波技術といい、これに用いられる音波を、それが可聴域音波であっても超音波というとされています。

安全な小出力の微弱超音波

安全な小出力の微弱超音波

医療分野における超音波の重要なテーマとなったのは、超音波が人体に与える影響でした。超音波出力の大きさと人体の影響についての数多くの研究がなされた結果、小出力の超音波は人体に対して悪影響が無いことがわかりました。この小出力の微弱超音波は医療分野においては胎児診断装置やソニマックの眼科用超音波治療器などに用いられています。また医学応用以外では食品加工における熟成や発酵促進作用などに役立っています。

超音波の医学的応用

超音波の医学的応用

超音波の医学への応用は超音波のエネルギーを直接に治療や器具の洗浄に利用する「動力的応用」と生体内部における超音波の反射や透過の様子を調べ、その結果を疾患の診断などに利用する「情報的応用」に大別することができます。

動力的応用
超音波治療器、超音波メス、超音波による結石の除去、超音波歯石除去、医療用超音波洗浄機(器)など
情報的応用
胎児診断装置、超音波画像診断装置、超音波内視鏡など

超音波美顔(容)器は強い出力の超音波

超音波美顔(容)器は強い出力の超音波

近頃、超音波美顔(容)器が一般の人々に使われるようになってきました。超音波が発生する面(フローグ)に水滴を落とすと水蒸気化するキャビテーション現象の発生する強い出力の超音波を皮膚の内部皮下組織に浸透させて、「肌の働きを高めフェイスラインを引き締めたり、シワ・タルミ・シミ・ニキビなどを解消して若々しい素肌になるなどの効果が期待できる」と説明しています。そして「超音波は医療にも使用されていて、人体には全く害を与えません。医療用に開発した超音波を美容用にしたものです。安全性は医療が証明してくれています」などと宣伝しているものもあります。しかし、医療現場では強い出力の超音波の扱いは専ら医療関係者が行なうもので、美顔(容)器のように一般の人が長期に継続的に使用することではありません。過度な使用は体に悪影響を与える恐れがありますので、使用できない箇所や用法用量を厳守することが大切です。

超音波で酒がうまくなる

超音波で酒がうまくなる

江戸時代に江戸では海路で運ばれた灘の酒がうまいと有名になったそうです。地元で飲むよりもうまいと評判を聞いて、灘の豪商が海路の酒を取り寄せて飲んでみたところ、地元の酒よりもうまいことがわかったそうです。これは酒が海路で運ばれる間に船が揺れて、酒がゆっくりと振動して熟成が進むという理由だそうです。超音波でも酒を振動させて熟成させる実験がなされてきました。そして非常に出力の弱い超音波を酒に照射すると、酒の分子構造がうまくなることがわかりました。これはアルコール分子の周りを水の分子が包んだ構造となって、アルコール成分が舌に直接に刺激しないでまろやかな味になるためだといわれています。また微弱の超音波を使用するとアルコール分子をきちんと水の分子で包んでいる確率が高く、分子構造が元に戻らずにうまみが持続することがわかりました。

メガネ、入れ歯をきれいにする超音波

メガネ、入れ歯をきれいにする超音波

よく街のメガネ屋で見かける超音波洗浄機(器)は超音波の振動で発生した無数の気泡(キャビテーション)が破裂する瞬間に出る衝撃波の力で、微細なすきまや穴の奥の汚れを粉砕して、布やブラシ、水流では落ちない汚れを取り除きます。メガネ、入れ歯、歯ブラシ、ネックレス・指輪・ピアスのアクセサリーなどの洗浄に最適ですが、真珠、べっ甲、象牙、エメラルドなどの表面硬度の柔らかいものや傷、割れのあるもの、メッキや塗装加工の劣化しているものは破損する可能性があるので利用できません。